ファクタリングは売掛債権を現金化する仕組みで、これまで資金繰りに苦労していた中小企業の資金調達に役立っています。
金融の円滑化という面から政府も積極的に活用するよう推進しています。
その反面、認知度という点でまだまだ経営者に浸透していないという状況ですので、ここではファクタリングの仕組みを分かりやすく解説していきます。
ファクタリングとは?
ファクタリングとは売掛債権をファクタリング会社に売却し、早期の資金調達を目的としたサービスです。
特に中小企業の資金調達に活用されていますが、利用件数の増加に伴い売掛金を買い取るファクタリング会社も近年増加傾向で、すでに100社以上あるといわれています。
ファクタリングの種類と取引形態
ファクタリングは種類が多く取引の形態などもあるため複雑な印象ですが、一般の中小企業が利用する取引は限られますので、ここで分かりやすく整理します。
ファクタリングの種類
- 一括ファクタリング
- 国際ファクタリング
- 医療・介護ファクタリング
- 保証ファクタリング
- 給料ファクタリング
ファクタリングの取引形態
- 2社間ファクタリング
- 3社間ファクタリング
ファクタリングの種類一覧表
ファクタリングの種類 | 主な利用 | 取引形態 | 売掛先の合意 |
一括ファクタリング(買取) | 国内取引企業の早期資金調達 | 2社間 3社間 |
不要 必要 |
国際ファクタリング(買取) | 国際取引企業の早期資金調達 | 3社間 | 必要 |
医療・介護ファクタリング(買取) | 医療機関の早期資金調達 | 3社間 | 必要 |
保証ファクタリング(保証) | 売掛金の受取保証(貸し倒れリスク回避) | 2社間 | 不要 |
給料ファクタリング(買取) | 会社勤めの個人の早期資金調達 | 2社間 3社間 |
不要 必要 |
種類と取引について
国内の一般的な企業が売掛金を現金に変える場合は一括ファクタリングになります。
一括ファクタリングを行う際の取引は、2社間ファクタリング、3社間ファクタリングのいずれかを選択することになります。
現在の日本では2社間ファクタリングが主流の取引となっています。
なお、近年までファクタリングは4種類と言われていましたが、最近は個人が勤める会社の給料をファクタリングするサービスが出てきました。
これにより5種類になっています。
ファクタリングの流れ
ファクタリングの中でも取引量が多い一括ファクタリングで、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの流れを紹介します。
2社間ファクタリング
ファクタリング利用会社=A社(売掛債権を保有)
A社の取引先⇔B社(売掛金の支払義務あり)
①A社からB社に商品を納品し売掛債権が発生、A社はファクタリング会社に申し込む
②ファクタリング会社は売掛債権を買い上げ、A社に入金
③後日B社から商品代金がA社に払われ、A社はその代金をファクタリング会社に支払う
3社間ファクタリング
①は上記と同様
②ファクタリング会社がB社にファクタリングの同意を求めB社が了承する
②ファクタリング会社は売掛債権を買い上げ、A社に入金
④後日B社からファクタリング会社に売掛金の代金を送金
ファクタリングに掛かる費用
続いてファクタリングで掛かる費用(手数料)となり、ファクタリング会社の手数料の相場では以下の通りです。
2社間ファクタリングの手数料の相場 | 10%~30% |
3社間ファクタリングの手数料の相場 | 1%~5% |
費用の内訳では以下のものになります
- 着手金(ほとんどは無料)
- ファクタリング会社の手数料
- 事務手数料
- 印紙代
- 債権譲渡登記費用
- 交通費
ファクタリングのメリット・デメリット
最後にファクタリングのメリット・デメリットを紹介します。
ファクタリングは売掛債権を売却する事で早期の資金調達ができる事が最大のメリットになりますが、その他にメリットがあります。
ファクタリングのメリット
- 銀行融資よりも審査が早く甘い
- 売掛債権が回収不能でも保証義務を問われない
- 借入ではないのでバランスシートが汚れない
- オフバランス化ができる(資本比率の改善)
ファクタリングのデメリット
- 売掛債権が満額受け取れない
- 取引先(売掛金先)によってはよく思われない
- 銀行融資ほど多くの資金調達は出来ない
ファクタリングの仕組みまとめ
ここまでファクタリングの仕組みや大事な点について概要を整理しました。
種類や取引形態が複数あり分かりにくい印象があるかもしれませんが、主に利用するのは早期の資金調達を目的とした中小企業の経営者や個人事業主になります。
資金繰りの改善や運転資金の調達を急ぎたい経営者は、一括ファクタリングの2社間か3社間の取引について詳しく理解すれば良いでしょう。